この記事は、重度の小麦アレルギーである私が、小麦を誤食してアナフィラキシーショックを起こし、救急搬送された時の記録です。ショッキングな内容で、見たくない、知りたくないという方もいらっしゃるかもしれません。
でも、私の経験が同じ小麦アレルギーの方、アレルギーかもと思う方、小麦に限らずアレルギーを持っている人が近くにいる方、またアレルギーについてよく知らない方のお役に立てばと思い、この記事を書くことにしました。
もくじ
私の小麦アレルギーについて【食物アレルギー】
発症時期 | 8年前に発症 |
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現在の状況 | 小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、蕎麦を完全除去 |
アレルギーの程度 | 少量のコンタミでもすぐに症状が出る重度のアレルギー |
過去の経験 | 誤食による救急搬送歴あり、自身でのエピペン使用経験あり |
事故発生までの経緯(小麦アレルギー/アナフィラキシーショック)
誤食の状況(10月27日23時15分頃)
新店舗の試作のため、もなかの皮を食べました。それまで米粉製のものを使って試作をしていたため、今回も同様だと思い込んでしまっていたのです。これが、致命的な誤りでした。
最初の違和感
食べた瞬間に口の中がピリピリし、明らかな違和感を感じました。しかし、打ち合わせに夢中になっていたため、その感覚を無視してしまいました。この時点で気づくべきでした。
症状の進行と対応(服用した頓服薬)
すぐに体のあちこちに異変を感じ、「何かおかしい」「小麦が含まれていたのでは」と思い、すぐに頓服薬を服用しました。
服用した頓服薬 | |
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プレドニゾロン錠 | 5mg×3錠 |
ルパフィン | 10mg×1錠 |
ピロテカジン | 10mg×1錠 |
急激な症状の悪化(アナフィラキシーショック)
しかし、その直後から激しい症状が現れ始めました:
- 激しい嘔吐
- 下痢
- 腹痛
職場の人がエピペンを持ってきてくれましたが、この時点ですでに自分では打てない状態にまで悪化していました。普段から職場のみんなには、エピペンを常時所持していることと、カバンのどこに入れているかを伝えてあったことが、この時役立ちました。
救急要請から搬送まで(23時30分)
救急車の要請
職場の方が救急車を要請してくれ、わずか5分で到着しました。その間、私のアレルギーの状況や症状についても伝えてくれていたそうです。当初、かかりつけの病院には受け入れを拒否されたため、別の総合病院への搬送が決まりました。
救急車内での処置(エピペン投与)
救急車内では血圧低下や呼吸困難の症状が出ており、救急隊員の方が、私が自分で打てなかったエピペンを投与してくれました。その結果、一時的に状態が改善したとのことです。
※この時点から私の意識は朦朧としており、ここからの記憶はほとんどありません。以降の記録は、付き添ってくれた職場の方や病院の医師から後に聞いた内容です。
病院到着後の状況
病院に到着後も症状は深刻化していきました:
主な症状 | 状態 |
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嘔吐 | 継続的に発生 |
発赤 | 全身に広がる |
呼吸困難 | 重度の症状 |
血圧 | 著しい低下 |
緊急処置の内容(アナフィラキシーショック)
症状が特に深刻だったため、通常以上の処置が必要となりました:
・アドレナリン(ボスミン)を2本投与しても効果が見られず
・3本目の投与でようやく症状が落ち着く
・CTスキャンの撮影も実施(本人は記憶なし)
処置後の経過
症状は一旦落ち着きましたが、今回は以下の理由から即日帰宅は困難と判断され、入院することになりました:
- 通常以上の大量のアドレナリンを使用していること
- アナフィラキシーショック後の二相性アナフィラキシーのリスク
- 継続的な経過観察の必要性
この時初めて気がついたのですが、処置中に全ての服を脱がされ、入院着に着替えられ、おむつまでつけられていたようです。全く記憶にない中で着替えさせられていたとは…今でも少し驚きです。
アナフィラキシーショック後の入院中の様子
翌日の夕方まで、1泊の入院となりました。入院中は:
- 継続的な点滴治療
- 心電図モニターの装着
- 絶食(食事は一度も提供されず)
実は、病院での小麦アレルギー対応食がどんなものか興味があったのですが、今回は食事を摂取できる状態ではなく、見ることができなかったのは少し残念でした。とはいえ、その時は食事をしたい気持ちすら起きない状態でした。
この経験から学んだこと
1. 確認の重要性
今回の原因は、私自身が「もなかの皮には小麦が使われていない」と思い込んでしまったことです。業務用の食材で、パッケージに原材料の記載がなかったこと、発注者が自分ではなかったことなど、いくつもの要因が重なりましたが、全ては私のチェックミスが原因です。
2. 周囲の理解と支援の大切さ
今回、その場に居合わせた職場のみんなや、夜中に呼び出された家族にも大変な迷惑をかけてしまいました。でも、みんなが慣れていて、すごく冷静に対応してくれたんです。普段から周りの人に支えられているんだなということを、強く実感しました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
3. 事前の備えの重要性
- エピペンの携帯と保管場所の共有
- 緊急時の対応手順の周知
- アレルギー情報の共有
食物アレルギー持ちの方々へのメッセージ
アナフィラキシーショックの状態で死にかけて怖かった…というより、ほとんど意識がなかったので実際のところはわからないというのが正直なところです。あとで話を聞いて、そうだったのかと知りました。
食物アレルギーを持つ方の周囲の方々へ
今回の経験を通じて、特に重要だと感じた点をまとめました:
状況 | 対応のポイント |
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普段から | ・エピペンの保管場所を把握 ・アレルギーの程度を理解 ・緊急連絡先の共有 |
症状発生時 | ・落ち着いて対応 ・速やかな救急要請 ・医療機関への情報提供 |
事後のケア | ・再発防止策の検討 ・情報の共有 ・環境の見直し |
後日の経過
退院した翌日、かかりつけのアレルギー専門医で診察を受けました。現在のアレルギーの状態を改めて確認するため、血液検査を実施し、今月は新たにプリックテストを受けることになっています。その結果については、また別途報告させていただきます。
最後に:この記事を書いた理由
今回の経験を記事にした理由は、以下の願いを込めてのことです:
- 同じような食物アレルギーを持つ方への注意喚起
- アレルギーを持つ方の周囲の方々への情報提供
- 食物アレルギーについての理解を深めるきっかけづくり
このような事故は、決して「他人事」ではありません。アレルギーを持つ方も、そうでない方も、食物アレルギーの重大さを理解し、適切な対応ができるようになることを願っています。
最後に、今回の件で心配してくださった皆様、そして適切な処置をしてくださった救急隊員の方々、病院のスタッフの皆様に心からお礼申し上げます。このような経験を二度と繰り返さないよう、より一層の注意を払っていきたいと思います。